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*** LP ： UK / 97 / Dig the Fuzz / Dig 025 ***
■　コンディション　■
A- / A
ジャケット右上に硬いもので引っ掻いたような痕があり、5mm四方内で破れがあります（「破れ」というよりは「皺」といったほうが適切かもしれません）。
見開きの内ジャケットに直系3cm以内の薄らとした染み（黴？）の痕があります。
盤面にはひげや気になる擦れはなく、限りなく新品に近いコンディションです。
見開きジャケットで、マイク・エヴァンス（Mick Evans）のライナーや珍しい写真が載っています。
「Dig the Fuzz」のカタログ類2種を付属。

「未発表デモ」と紹介されることの多い本作ですが、Polydorを始め大手レコード会社からの発表を想定して録音されたそうで、20年後に元メンバーたちが執念で完成させた「未完成アルバム」という方がより正しいでしょう。
モッズ再評価となった90年代以降、アクションも『Action Packed』や『The Ultimate Action』などの編集盤が出ていますが、それらはシングルを中心にしたコンピレーションにすぎず、本作はスモール・フェイシズ（Small Faces）時代のロニー・レイン（Ronnie Lane）がデモを聴かされ、アルバムの完成を楽しみにしていたという実話が残る「未完成アルバム」のための録音です。
『Rolled Gold』とタイトルも決まっていたアルバムが完成して発表されていたら、スモール・フェイシズの『Ogden's Nut Gone Flake』、フー（The Who）の『Tommy』及びゾンビーズの『Odessey And Ogden's』などと並んで、モッズの範疇を越えてロック史に燦然と輝く大傑作として評価を確かなものにしていたことでしょう。
曲の完成度も高く、このデモを聴いたロニー・レインがアルバムの完成を心待ちにしていたという実話も、100%納得できます。
ポール・ウェイラーらによるモッズ再評価で一躍脚光を浴びたアクションですが、活動していた60年代半ばに既にモッズの間ではフーやキンクス（Kinks）を差し置いて「本物のモッズ」との評価を得ていたそうです。
その「The Action」は、63年にレグ・キング（Reg King）、アラン・キング（Alan King）、マイク・エヴァンス（Mike Evans）、ロジャー・パウエル（Roger Powel）が結成したバンドにピート・ワトソン（Pete Watson）が加入したことによって始まりました。
当時はアルバムを残しませんでしたが、レグ・キングのソウルフルなヴォーカルとアラン・キングの見事なサウンド構成力と演奏力の高さは折り紙つきで、5枚の英国でのシングルを残した実力派バンドでした。
ところが時代も時代、フラワーな気分でイケナイモノに手を染め出した他のメンバーに嫌気がさしてピート・ワトソンは脱退……あのジョージ・マーティンの下で本作の制作を続けましたが、メンバーの度を越したヘロヘロさ加減にジョージにもついに見放され、残ったメンバーは「コリャやばい」と本気になってイアン・ホイットマン（Ian Whiteman）とマーティン・ストーン（Martin Stone）を加入させたのでした。
つまり、まだ「The Action」を名乗っていましたが、図らずも「レグ・キング＋マイティ・ベイビー（Mighty Baby）」という一部の英国ロック狂は失禁してしまう布陣となったのです。
収録された曲は全てオリジナルで、しかもB-1「Look At The View」のみアクションの4人だけの演奏で、その他の曲はイアン・ホイットマンとマーティン・ストーン（つまり「Reg King + Mighty Baby」）による演奏だというのですから、好き者にはたまりません。
とにかくメロディーが素晴らしく、繊細ながらも適度にキャッチーでポップ・サイケとして高水準な楽曲が並んでいます。
更にその演奏は、後年、英国フォーク界の影の仕事人として実力を遺憾なく発揮する凄腕ミュージシャン集団ならではの、ヘビーなリズム隊の上にファズ・ギター、流暢なピアノ、浮遊感漂うフルートが絡む変幻自在な演奏を繰り広げており、へたうまコーラスも満開です。
イアン・ホワイトマンがフルートを妖しく奏で、演奏も突っかかるような疾走感のあるA-3「Love Is All」や、マーティン・ストーンのギターが炸裂するA-5「Strange Roads」あたりのサウンドには一切のモッズ色はなく、マイティ・ベイビーの1枚目そのもので格好良すぎます。
マイティ・ベイビーの2枚のアルバムに中毒の方は勿論、ゲイリー・ファー（Gary Farr）やキース・クリスマス（Keith Christmas）そしてシェラ・マクドナルド（Shelagh McDonald）などなどマイティ・ベイビーがサポートしたアルバムがお好きな方にも「マスト・アイテム」でしょう。
こんなに高水準の音源を残したのにアルバム化の話は進まず、結局レグ・キングは脱退……残りのメンバーはマイティ・ベイビーを名乗るようになり、腕っこきのミュージシャンとして引っ張りだこで英国フォーク・ロック系の名盤に多数参加することになり、いずれも高水準の内容のため、後年世界中の病人たちを泣かせることになるのでありました。
なお、現在でも用意に入手可能なCDのジャケットは再発時のもので、オリジナルのジャケットはこれになります。
また、本作に先立つこと2年前の95年に発表された『Brain 〜 Lost Recordings 1967-68』は、本作の完成を目指した時点でのラフ・ミックスととらえるのが妥当だと思いますし、本作と合わせて聴くとマイティ・ベイビーのファンには感慨もひとしおでしょう。
【参加ミュージシャン】
Reg King ; Lead Vocals, Guitar, Dulcimer, Piano, Viola
Mike Evans ; Bass
Alan King ; Guitar, Backing Vocals
Roger Powell ; Drums
Ian Whiteman ; Keyboards, Flute
Martin Stone ; Lead Guitar
【収録曲】
A-1. Come Around 2:47
A-2. Something To Say 3:15
A-3. Love Is All 3:42
A-4. Icarus 2:54
A-5. Strange Roads 3:55
A-6. Things You Cannot See 2:46
A-7. Brain 3:00
B-1. Look At The View 3:59
B-2. Climbing Up The Wall 3:03
B-3. Really Doesn't Matter 3:07
B-4. I'm A Stranger 2:44
B-5. Little Boy 2:17
B-6. Follow Me 2:56
B-7. In My Dream 3:19

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