*** LP ： ?? / Late Press (69) / Mainstream / S6121 ***
■　コンディション　■
A / A-
ジャケットは角打ちやリングウエアはなく、中古としては申し分のないコンディションです。
盤面に数本のひげがあるので「A-」にしましたが、気になる傷や擦れはなく、限りなく「A」に近いコンディションです。
クレジットがないので詳細は不明ですが、15年ほど前に少数出回った再発だと思われます（精巧なリプロかもしれません）。

カナダの女性SSWキャシー・ヤング（Cathy Young）が69年に発表したアシッド・フォークの大傑作です。
本作を完成させた時点でキャシー・ヤングはまだ10代後半だったそうで、A-1「Spoonful」を除く10曲が彼女のオリジナル曲で、女性SSWアルバムとしても高水準の内容です。
サイケデリックなペイントが施されたアコースティック・ギターを手に持つキャシー・ヤングの姿から想像通りの内容で、製作当時10代だったのが信じられない程、全編妖気に包まれたアルバムです。
A-1「Spoonful」はクリーム他ロックでもカヴァーの多いハウリン・ウルフの有名なブルース・スタンダードですが、60年代後半のアシッドな匂いをプンプンと発散させながら、歪みまくったギターやオルガンの音が渦巻く中で憑付かれたように歌われており、完全にイケナイモノでラリッていたとしか思えない程の鬼気迫るものがあります。
ジャケットと個性的（と言えば聞こえはいいが、常軌を逸した）なA-1「Spoonful」のカヴァーだけで本作は「買い」なのですが、残りのオリジナル10曲もクオリティーが高いのですね。
70年代になってからの2作目に通ずる、清楚な側面も窺えるフォーク・バラードのA-2「Misfit Matilda」や、ピアノが耳に残るA-4「Everyone's A Dealer」など、ジャズやブルース、ポップス、カントリーなどの要素が濃く、強烈なA-1以外のキュートな楽曲が彼女の本質なのでしょう。
とはいえ、歪なアレンジや不穏なイントロ、気がふれたような笑い声など、アルバム全体が異様なムードに包まれています。
演奏も充実していて、バンジョーとギター、更に楽曲のアレンジを担当したエリック・ワイズバーグ（Eric Weissberg）や、スタジオ・ドラマーとして長いキャリアを誇るバディ・サルツマン（Buddy Saltzman）らが手堅くサポートしています。
アシッド・フォークが好きに熱狂的に支持されてきたのは100%納得できるとしても、楽曲も演奏もSSW寄りのアルバムですし、SSWファンにももっと注目して欲しい傑作です。
【収録曲】
A-1 Spoonoful
A-2 Misfit Matilda
A-3 This Life
A-4 Everyone’s A Dealer
A-5 Circus
B-1 Mr.Mouth
B-2 Colour That Lightning
B-3 Billion Lovers
B-4 Understanding Changes Misunderstood
B-5 Following In Front
B-6 Melody Plot
【参加ミュージシャン】
Cathy Young ; Vocal, Guitar
Eric Weissberg ; Banjo, Guitar
Don Payne ;Bass
Buddy Saltzman ; Drums
Ronnie Zito ; Drums
Michael Joseph Abene ; Piano, Organ
Patrick Rebillot ; Piano, Organ