*** LP ： Sweden / 73 / Philips / 6316 003 ***
■　コンディション　■
A / A (C)
コーティングされたジャケットは角打ちも浮きもなく、中古としては申し分のないコンディションです。
盤面にはひげも擦れもないのですが、プレスミスがあるようでA-2の冒頭で2ヶ所ほど音飛びがあります（針圧を重くすると飛びませんがプチノイズを拾うこのA-2冒頭のみ「C」の評価で、他は「A」ランクです）。

スエーデンで現在も活躍する有名な歌手のようでして、73年に19歳で発表した本作は2枚目にあたります。
70年代後半のアルバムは「グルーヴィー」なダンス・チューン（北欧に多いボッサのようです）でクラブ系に人気があるようですが、本作は知られざる「スエーデン産エキセントリック・フィーメール・アシッド・フォーク」と断言しちゃいましょう。
まずはジャケットを見てください、別嬪さんなのに不貞腐れた表情……これを見た男なら「内容なんかどうでもいい、ジャケが欲しい」と欲情確実っしょ。
彼女はフォーク色の強いアルバムでデビュー（未聴）し、75年頃からは北欧ボッサ風の曲を得意とする女性SSW路線になったそうです。
トラッドをアレンジしたA-1は、ギターの音色と東洋的な旋律がフラワー・トラヴェリン・バンドの「SATORI」を思い起こさせる強烈なアシッド・ナンバー。
続くA-2はリズムのアタックの強いハード・ロック路線の曲ですが、やはりギターの音色はフラワー・トラヴェリン・バンドのようです。
サイケ・ファンはこの2曲で連れて行かれること請け合いです。
その後の展開は、フレンチ・ポップスというよりもシャンソンを思わせる演劇的な曲、ピアノ・トリオを従えての語りかけてくるようなジャージーな曲、英国トラッド的な曲とヴァラエティーに富んだ内容です。
個人的に一番しっくりくるのが英国トラッド的な小曲（3曲収録）でして、バンド名は忘れましたがスエーデンにはスティーライ・スパンそっくりのバンドがあったのを思い出しました。
考えてみれば北欧とブリテンはヴァイキングの時代から交流があったわけですから、トラッドのメロディーなどに共通項があっても不思議ではないですね。
演奏はどうしてもギターに耳が行ってしまいますが、基本はジャージーな生ピアノや飛翔するフルートなどを織り交ぜたシンプルなもので、あくまでも主役である彼女の落ち着いた歌声を引き立てています。
70年前後の混沌とした英国ロック・ファンやアシッドの香り漂うフォークやトラッド・ファンで、英語以外の外国語に抵抗のない人は要チェックのアルバムでしょう。
人口950万人のスエーデンのみの発表ですのでプレスは相当少ないはずだし、注目されたら価格高騰確実な悶絶アイテムと申し上げておきましょう。
【収録曲】
A-1 Oje Brudmarsch (Trad. Arr. Monica Tornell) 4:47
A-2 Magical Fountain (John Bundrick) 4:13
A-3 Inte Ager Jag Ggods Oh Guld (Pim Pim) 2:12
A-4 Morgonmarsch (Bo Dahlman / Owe Junsjo) 3:10
A-5 En Arik (Monica Tornell) 1:38
B-1 Kulan (Jon Schaffer / Monica Tornell) 3:11
B-2 Varfor (A. Henriksson / P. Lundblod / A. F. Ronnblom) 3:57
B-3 Suplat (Trad. Arr. Monica Tornell) 1:43
B-4 Jag Gar Min Vag (Bo Dahlman) 3:58
B-5 Nackens Dotter (Kent Burvall / Roland Lindqvist) 1:58
B-6 Han Gick Pa Angen (Monica Tornell) 0:42